催眠ぱらだいす!https://www.onomatope.site/saimin/
『でぶせん』やないかーい
『催眠ぱらだいす!』、主人公が
『でぶせん』の満子しか見えません。
用務員のおっさんが催眠の力を手に入れて好き放題。ついでに女装して転校生としてクラスに転入。
ひたすらエロいことだけして終わり。というゲーム。
そこに語るべきことは何もござらん。
因みに『でぶせん』というのは『サイコメトラー』のスピンオフ漫画でヤンマガでも連載していました。
本作では、催眠によって周囲からは主人公のことが美少女にしか見えなくなっています。
onomatopeさんらしく物量と勢いのみで成り立っており、むしろそれしかありません。シナリオも皆無で、ラストも
催眠が解けても自分(主人公)のことが好きだと言ってくれたからそれでHAPPYだよねという、ぶっちゃけただの投げっ放しにしか思えなくもないのですが、シナリオというものを放棄した内容となっています。
それでいいちゃいいのかもしれませんが......。コンセプトからやや不穏当です。
明るく楽しい催眠生活
催眠という復讐やネトリといったダークな印象を払拭。
明るく、楽しく、ツゴウノイイ催眠生活をお愉しみいただけます
(原文ママ)
とのことですが、こういうのはよくよく考えないと最初から道を踏み外しています。
ダークな印象を払拭もなにも催眠という手段そのものがダークであって、それはイメージじゃない。加えて、催眠という力自体が都合の良いものにも関わらず、そこで更に都合の良い世界観を持ってくるっていうのは、もう世界における2重肯定を生み出してしまいシナリオというものが成立しません。これは論理崩壊であり、基本的に人間は世界に共通する普遍的な物理法則に従って生きています。
例えば、手に持っている林檎から、手を離すと林檎は地面に向かって落下する。
これは「引力」が働いているからですが、それを当たり前の感覚であり常識として人は認識しています。
そうした普遍的なルールが崩壊していると収拾が付かなくなり、世界が成り立ちません。
翻ってこの場合、催眠に良くあるシチュエーションの一つとして常識の改変がありますが、
これが面白いのは、世界(この場合は周囲)が、正常な常識の元にある中、
ヒロインだけが異常な常識に従っている(認識している)から、面白いわけですよね。
当然、逆も成り立ちます。
世界の常識が異常の中で、主人公だけが正常、或いはヒロインだけが正常、これも面白い。
『エロゲーみたいな島で貧乳(以下略』というゲームはまさにそうでした。
「正常」の中で「異常」だから面白い。この逆に「異常」の中で「正常」でも面白い。しかし、「異常」の中で「異常」だと面白くないし、意味がない。世界観も異常でヒロインも異常だったら、成り立たないんですよ。
つまり、本作にシナリオと呼べるものがないのは、2重の異常により生み出された世界において、シナリオというものがあらゆる面で成立しないからであって、
都合の良い力を都合良く手に入れて、都合の良い世界で都合良く好き勝手するという内容が、物語として面白いわけがない。起承転結そこには何もないわけで、だからこんな感じの内容にしかならないっていうなるべくしてなった感じですね。
そう考えると、催眠っていうジャンルは上手く扱うのが案外難しいジャンルだと思う。
数多く催眠ゲーは出ていますが、本当に活用出来ているのは一握りもないでしょう。
主人公が何やっても問題にならないので、全てが暖簾に腕押しという感じ。何をやっても手応えがないんですよ。これを明るく楽しいというのは、ただ単にモノは言い様というだけな気がします。本当に楽しいのかと言えば世界観が狂気で楽しそうに見せているだけで、実際には全くそんな風には思えないみたいな認識に対してとてつもなく重大な齟齬がありますね。
【星】
★★★★★★☆☆☆☆
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