【アリスソフト】超昂神騎エクシール
- 2017/08/04
- 22:49

超昂神騎エクシール
http://www.alicesoft.com/ixseal/
世界よ、これがエロゲーだ!
久しく忘れかけていたフルプライスの面白さ......!
その熱量が如何なく発揮されているシリーズ待望の最新作『超昂神騎エクシール』。
主人公、央道継彦という名前、そして込められている主張、哲学。
何もかもが懐かしく、そしてだからこそより新鮮に感じられる主人公というエロゲーを映し出す鏡。
こんなゲームを待っていた!
アリスソフトさんで超昂シリーズ最新作『超昂神騎エクシール』。
『超昂閃忍ハルカ』の発売が2008年なので、なんと9年ぶりという超昂シリーズ。
『超昂戦士エスカレイヤーR』というリブート版が発売になっていたとはいえ、9年ぶりとあっては否応に期待も高まります。
まず何よりフルプライスのゲームってこういうのだったなっていう充実感がありました。
変身やフェニッシュシーンがアニメーションだったり、出撃するときはドットキャラクターがアニメーションしたり、こういうの昔は沢山あったけど、今ではどんどん削られていった部分ですよね。だからこそ懐かしさと同時に新鮮さが感じられてワクワクしました。そういう演出面の豪華さっていうのは無駄じゃなくてちゃんと感情に寄与してるんですよね。
あえて言いますが、勿論ゲームによって大きく異なりますけど、最近のゲームより昔のゲームをプレイした方が遊んだ充実感は大きいと思う。近年はどんどん不要(に見えて不要じゃない)要素っていうのは削除されてきました。それどころかヒロイン数ですら減る一方です。
ヒロインも5人くらいが当たり前だったのに最近では2人や3人の作品も多いよね。
『超昂神騎エクシール』もボリューム面で同じ問題を抱えています。
ヒロインはエリスちゃんとキリカちゃんのみ。
敵の幹部やサブヒロインとのエッチシーンは一切存在しません。
『ハルカ』ではハルカ、ナリカ、スバルの3人がいましたし、サブヒロインも充実していました。
『エスカレイヤー』でも、沙由香ちゃんの他にマドカちゃんや遼子さんが。
2人のみというのは明らかに少なく感じます。
その分シチュエーションが豊富かというと、育成パートの導魔シーンで、鬼畜なエッチシーンが2、3個増えるのは中盤移行で前半はひたすら同じシチュエーションのエッチシーンを選択することになります。非常に選択の幅が少なく感じられます。純愛と鬼畜で両立するほどどちらのシーンも多くないという物足りなさ。更にヒロインも2人ですし、ここはちょっと残念。
何より残念なのが、物語の核となるネタバレは避けるとして、あの展開で天使長とのエッチシーンがないのはありえない。まさに画竜点睛を欠くとはこのこと。あって然るべきなものがないというのは非常に座りが悪くムズムズします。同じ理由で愛に生きたジュラウスちゃんや全ての元凶であるシェムザードちゃんにもエッチシーンがないとか、そういうことが相対的に全体の感想に影響してる面は否めません。それぞれ1シーンでもあれば全然見た目や感じ方が違ってたと思うだけにそこは残念。
これはコンシュマーゲーム業界が陥ったHD化における弊害と全く同じで、ハードの性能が上がりメディアの容量も増え高画質になってゲームが面白くなるのかと思ったら、実際にはただ画面が綺麗になっただけで中身がスカスカのつまらないゲームが氾濫しただけっていうのと同じ状況なんですよね。そしてひたすら面倒になるばかりだった据え置きからゲーム離れが起きていくのですが、CSは最近ようやくそこから脱却し始めてきただけに、CGの解像度が上がってエロゲーも同じ問題に直面しているのを見ると、解決策を見つけていかないとどんどん苦しくなる一方という気がしました。
閑話休題。
ヒロイン問題はともかく、物語は非常に良く練られており、ヒロインが2人だからこその濃厚な物語が展開します。
最初はキリカちゃんの方がメインヒロインなんじゃないかと思っていたのですが、途中から主人公とエリスちゃんの悲しすぎる輪廻転生の宿命が明らかになっていき、メインヒロインとして存在感を発揮していきます。
神と天使と堕天使と悪魔。
魔王である主人公は輪廻の度に幾度となくエリスちゃんに殺され、そして魔王軍は何度でも敗北する。
それこそが宿命なのですが、悲しすぎる真実とその秘められた真実を知らないままそれぞれの思惑やイレギュラーによって徐々に崩壊していくバランスという、シナリオの完成度は非常に高くシリーズ屈指のクオリティ。
久しぶりに腰を据えて朝までコースでプレイしたので10時間くらい掛かりました(笑)
因みに当然ですが、鬼畜度は上げすぎると取り返しがつかないので念の為。

魔力を回復させる為に、校長に寝取らせることも可能。
こういう選択肢がもっとあれば良かったのですが、少なすぎる......。

主人公が本当に魔王だったら肉便器にでも苗床にでもなってあげるとか言ってしまい、
本当になりにきた律儀なキリカちゃん。素直なめっちゃ良い子。
主人公の継彦くんそのものがアリスソフトさんの主張や哲学を代弁しているような部分が多々あります。
もともと魔王になった経緯も、どこまでも大きな器、寛大な心、空のように広く大らかな精神性を持つからこそ魔王となりえたのですが、現代に転生した主人公はすっかりエロゲーマーに。しかしそれでも人間の本質的な部分は変わらない。
例えば、表現規制問題で、規制派を批判したりするじゃないですか。
自分が気に入らないものは規制すれば良いって言う浅慮な人達が大勢いますよね。
そういう人達を批判する一方で、その批判している人がタバコは有害だから全面禁止にして規制しろって主張していたらそれはただのダブスタですよね。タバコを吸っている奴はクソとか人格批判までし始めたらもう完全に破綻しています。分煙やマナーを考えるべきであって、そんなダブスタな主張に説得力はありません。
こういった理想像や願いが込められている主人公と言うのも久しぶりに見れて嬉しい。
『やる気』にさせてくれるゲームって素晴らしいですよね。真面目に向き合ったらまだまだエロゲーも面白い。
何よりここに来てスイッチの登場もありコンシュマー業界が復活してきていますが、もう一つの要因として粗製乱造のスマホアプリゲームがつまらなさすぎて、面白いゲームが求められ始めてきているっていうのがあるんじゃないかと思っています。
エロゲーもガチャまみれのつまらないブラウザーゲームとかいい加減もう飽きたでしょう(笑)
逆説的に面白いゲームに対する需要は上がってますね。
【星】
★★★★★★★★★☆